Quantcast
Channel: 松戸南部市場
Viewing all articles
Browse latest Browse all 956

(株)三松 ~豊穣な日本の海を想う・乾物の奥深い世界へ~

$
0
0


ゴールデンウィークも間近の土曜日、
新物シラス入荷の知らせを聞き、三松さんへお伺いしました。


看板には「鰹節・海産物」とあります。
こちらで扱っている海産物は主に乾物です。

mima1




やはり今日は新物シラスが目当てというお客様で賑わっています。
「ここなら間違いないもの」と、足を運ぶお客様の信頼は厚い。

mima2


mima3




大阪のご出身と伺いましたが、
関東と関西では好みが違う?

本日店頭に並んでいるのは
鹿児島ちりめん、和歌山しらす、愛知産太しらすなどなど。
確かに大きさ、色などが違います。
味見をして買われるお客様も。

まず、「シラス」はカタクチイワシやウルメイワシなどの稚魚。
作り方には「関東炊き」と「関西炊き」があるそうです。
塩茹で後の干し時間が短く、白くてふっくら柔らかなのが「関東炊き」

「近くにはなかなか売っていなくて」と
ちりめんをお買い求めのお客様。

mima4


mima5




「関西炊き」はいわゆる「ちりめん」と呼ばれ
乾燥時間が長く、きゅっとしまった感じです。

mima6




ちなみに「ちりめん」とは、着物の縮緬(ちりめん)生地の織り模様。
縮れた形が似ていることに由来するそう。

そして「小女子(コオナゴ)」
これはイワシではなく、釘煮で有名なイカナゴ。

mima7




そうそう、シラスといえば、子どもの頃は
紛れ込んでいる爪先ほどエビやらタコやらを探すのが楽しくて
箸でつつき回しては、親に怒られたものでしたが(笑)

知りませんでした・・・このような他の生き物が混ざっているのは
この時期の新物、いわば春に獲れるものだけなんだそうです!

1、2月、冬眠していた海は、春になると誕生の季節を迎える。
冷たい海中に浮遊していた形すらわからないような卵たちは一斉に孵化し
大海の中を泳ぎだす・・・。

それは魚だけではなく他の生き物も同じ。
だから近くにいた生き物の子どもたちが一緒に網にかかるのです。
今回の海の仲間はイカの赤ちゃん。

mima8




シラスの新物は秋にも出回るのですが
秋獲れのシラスには混ざり物がないのだそうです。

私のようにこれが季節性と知らない人も多いのでしょう。
混ざり無しのシラスが良いと思う人も多いらしく・・・。

「中国とか輸入ものは、こういうのを手で取り除くので
春でも混ざり無いシラスが可能なんですよ。
でもねぇ・・・・・・。
日本の海で取れる国産のものは混じってたって安全だし
本当はそれが自然の姿なんですよ」とご主人。

それと、シラスやコオナゴ自身のお腹に赤色がかったものがいます。

mima9




これは「エビ食い」といって味がいい。
エビを食べているから、その色素で赤くなるのだけれど
酸化しているんじゃないか、と苦情がくることがあるそう。
う~ん・・・。

さて、せっかくですから、ご主人お勧めのおいしい食べ方を。
「ごはんにシラスと卵をかけて醤油をちょっとたらす」

mima10




こんな感じかな?
極上の卵かけごはんは、毎日でも食べたいおいしさ!!
もちろん、大根おろしや佃煮、かき揚などの料理にもGOOD!

春の新物は、秋のものより脂が乗っていておいしいそうです。
但し、その分、日持ちがしないので、冷蔵庫なら1週間くらいでとのこと。
(冷凍庫なら長期保存可)


金華山エビ(アミ)の卵かけごはんも激ウマ!

mima11




それにしてもいったい何匹いるんでしょう。
これを見ているだけでも日本の海の豊穣さを想わずにいられません。


「いい煮干しがあるんですよ」
とシラスから、イワシつながりで見せていただいた
箱いっぱいの煮干は八戸産。

mima12




キラキラと光って本当に美しい。
こちらでは学校にも商品を卸しており、この煮干は給食用。

私も以前、小学校の「給食試食会」に参加したことがあります。
子どもたちの給食が、栄養や衛生に配慮されているのはもちろん
出汁も素材から何時間もかけて作られていることを知り
本当に感心したことを思い出しました。

「食育」という言葉、今はかなり一般的になりましたね。
でも、食育には栄養や食べ方だけではなく
その「食」自体を「育んだ」自然環境や文化的背景にももっと目を向けてほしい、と。
産地にこだわり、品質に厳しい目を向けるご主人だからこその説得力を感じました。

尚、春の稚魚漁とそれに関わる食は、田植え等とも関係があり
固有の郷土文化をもつ地方も多いとのことです。


さて話は変わって、こちらのお店の看板商品「鰹節」
製法や調合、削り方など、いろいろな商品がありますが、
今回の注目は、その奥にあるこのレトロな機械。

mima13




「市場ができた頃からなので40年くらいかしら。
古い機械だから逆に壊れないんですよ」とお店の方。

裏からみたらこんな感じ。

mima14




本邦初公開!?
機械内部の車輪に放射状についているのはごく薄い刃。
手前の筒状の穴に鰹節を縦に差し込んで削ります。

mima15




削りたて良さを味わえるのは専門店ならではですね。

全体的にはご年配のお客様が多いそうですが
自分でとった出汁のあまりの美味しさに
蕎麦打ちにまで趣味が高じてしまった20代のお客様もいるそう。
ファンの裾野は広がっています。

mima16




料理にあった出汁のとり方や材料については
三松のホームページや、お店でご指南いただけます。

乾物というと保存がきき、年間を通じて同じように思われますが
季節限定の物もあって、このお店で扱う商品は、年間300種類とか。

mima17




ワカメも今が新物の季節。

mima18




一番の店頭に並ぶ旬の商品は、来月には変わっているんですよ、とご主人。
次に行く時も楽しみにしています。

お忙しい中、本当にいろいろなお話を聞かせて頂き
ありがとうございました。
残念ながら今回書ききれなかった
あの高級昆布の話や、謎のモジャモジャの正体は
ぜひ次の季節に!

「乾物」はそれ自体が主食になるものではありません。
でも、料理の旨味を決める影の主役だったり
ごはんや主菜のおいしさ引き立てる名脇役だったり
そして何より日本の「食」と「文化」を結びつける奥深い存在なのでした。

「だしのみまつ」ホームページはこちら http://www.dashinomimatsu.com/




Viewing all articles
Browse latest Browse all 956

Trending Articles